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†蝶華†


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蝶華*1*

2010.03.22  *Edit 

それは突然の事であった。
本当に、何の前触れもなかったのだ。

「ねえ、別れよう」


彼女はそれだけをいうと、俺の前から去っていった。

春風でなびく茶髪のロングヘアー、それを片手でさっと払う。
その後姿は、どこか軽やかに見えて仕方ない。

一体何が起こったのか全く解らない。理性が追いつかない。
状況が把握出来ない俺は、ただ立ち止まって、彼女の去っていった方向をじっと見ていた。


* * * * *


「あ、やっほ~。久しぶりだね! 明日、いつもの場所で待っててくれないかな?」
昨日のこと、1ヶ月ほど音沙汰のなかった彼女が突然電話をかけてきた。

今までいっさい連絡をよこさなかったくせに、電話での第一声は「やっほ~」か。
よくもまあいけしゃあしゃあとそんな態度をとるよな。
そんな風に心の中では悪態をつきながらも、それくらいは許せるほど彼女が好きだったので、
俺は気にしないことにした。


そして今日、3年間続いた交際は、
彼女の一言によってあっという間に崩れ去った。

「ったく、一体何なんだよ!」
イラついた俺は、その場にあった空き缶を思い切り蹴飛ば……せなかった。
恥ずかしいことに空振りをしてしまったのである。

ますますイライラにかられながらも、取りあえず何が悪かったのかを考えてみることにした。
今後のために勉強しておこうと思ったのだ。


俺はその場にあった木にもたれかかり、しっかりと腕組みをした。
「さて、と……別れる原因といえば何だろうか……」

まず、普通ならば原因があるはずである。
たとえば相手が浮気性だったとか、または態度がそっけなかったとか、
はたまたドメスティックバイオレンスに耐えきれなかったとか。

しかし、俺の場合はどれにも当てはまらない。
浮気なんかしたことがないし、彼女とデートするときは気を遣っていた方だと思う。
ましてや暴力を振るうことなんか、俺の内気な性格では出来るわけがない。


では、一体どうして彼女は「別れたい」と思ったのだろう。
俺はその場にしゃがみこみ、頭を掻きむしった。


* * * * *


「別れよう」と言われてから早1時間が経とうとしていた。
しかし俺はまだ、フラれたその場所から動かない。


そんな俺の目の前を、無情にもカップルが通ってゆく。
手を繋いだり、腕を組んだり。
その光景を見て、何とも言えない感情が湧き上がってきた。

「――どうしてなんだよ」


好きだったんだ。
本当に好きだったんだ。

俺にしか見せてくれない、あの屈託のない笑顔が
内気な俺に光を与えてくれたんだ。

落ち込んでいるときは「大丈夫」と抱きしめてくれた。
嬉しいことがあったときは、自分のことのように喜んでくれた。


なのに、どうしてなんだ。
どうして、別れなければならないんだ。

――歯を食いしばって、俺は泣いた。


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