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ラッキーチャンス

2009.10.10  *Edit 

公園の大きな鳩時計は、そろそろ十六時をさそうとしている。
砂場で山をつくるもの、すべり台で遊ぶもの、はたまた、おままごとをしているもの。
それぞれが「この時間」を、有意義に過ごしていた。
そんな中、私は読み終わっていない小説を読んでいる。
壊れかけたベンチでの読書は、かなりスリリングで面白みがあるものだ。

「あっ……」
と、向こう側にいた少女が、こちらに向かって走り始めた。
小さな足を懸命に動かして、それもまたこちらに来る、ピンク色のゴムボールを追いかけている。
「待ってよ、ボールさん。待って!」
しかしボールは待ってくれない。ころころと、少女を弄ぶように転がってゆく。
少女は困った顔をしていたが、やがてボールとのおいかけっこを楽しみ始めた。
屈託のない笑顔を浮かべながら。

しばらく転がっていたそのボールは、あろうことか私の目の前で止まった。
全く。これで私は拾わなければならないではないか。
仕方なくしおりを挟んで、それを拾うことにした。

私が拾うと同時に、少女が息を切らしてやってきた。
「ボールさん拾ってくれてありがとう、お姉ちゃん」
これでもかという、口角の上がり。赤く染まった頬。キラキラと輝く瞳。
見たくないのに、見てしまった。

「じゃあね」
私は半ばボールを押し付けるようにして、そそくさとその場を去った。
一瞬にして冷や汗、動機も激しくなってくる。
早くここから立ち去らなければ。
早足はやがて、全速力へと変わっていった。


§ § § § §


どれほど走っただろうか、息切れがする。
もうこれ以上は走れない。そう思ったので、アスファルトの壁に寄りかかった。

見たくなかった。
あんな風に純粋な、笑顔を。
光り輝く、眼差しを。
何も疑うことのない、素直な心を。
……自分が惨めになってくるではないか。

胸を抑えて壁によりかかっていると、わりと近くから何かが鳴り響いた。
キーンコーンカーンコーン……
誰でも聞き覚えのあり、馴染みのあるあの音だ。

今日は不幸の連続だ。
夢中で走ったので気づかなかったが、
自分の今いる場所は、自分が最も居たくない場所。
ここはガッコウという監獄の、数百メートルと離れていない場所だったのだ。

急いでここから離れなくては。
早くここから逃げなくては。
私はたった今走ってきた道を、また走って戻りはじめた。

「あ……っ!」
息が切れてよろめいたとき、フラッシュが焚かれたような強い光を見た。
その瞬間、走馬灯のように映像が流れ始める。


私がコートに立っている。
ボロボロのラケットを握りしめたまま、髪の毛は泥だらけになっている。
目の前には私の仲間が立っていた。

「あんたさあ、ウザいんだよ」
「ムカつく」
「学校来るなよ」

たくさんの冷やかな瞳。
そして、氷のように突き刺さる言葉。
そう。私は、虐めを受けていた。


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