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†クジストーリー†


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出会い編*1*「不幸は降り注ぎ、幸運は舞い降りる」

2009.05.17  *Edit 

「あ~あ」
フライパンもフライ返しも真っ黒の中、そこには丸こげて原形とどめない目玉焼きがあった。
横目で外を見ると見事に大雨が降っている。
そしてそんな大雨の中、洗濯物がたっぷりと干してある……夕暮れのことだ。

「あ~あ……」
この声の主、アサヒはさっきからため息ばかりついていた。


アサヒは中小企業の部長という普通の仕事についていながら、
平凡な幸せと引き換えなのか昔から不幸に見舞われた人だった。

三歳のころはすべりだいのてっぺんから落下。
十歳のころは傘を川に落としてしまい、
そして今、十九歳のアサヒは朝からずっと、不幸、不幸、不幸の連続だった。

朝から目玉焼きを焦がし、もう一度作っていて電車に乗り遅れるし、
定期券は忘れてしまうし、かと思えば今日は非番(勘違いだった)
帰る途中で商店街の高価な花びんを割ってしまった。
そして干し忘れた洗濯物を干し終わった所で、ザーザーの雨。
そりゃため息もつきたくなる。

「あ~あ。お祓いでもしてもらわないといけないかもね」
そんなオカルト的発言をした瞬間。
「ド――――――――ン!!」
なんて、とんでもない音がして、家がグラグラ。
アサヒは地震と思い込み、机の下へとさっと隠れた。


しかし。それは地震なんかじゃあなかった。
いや、地震ならまだまだましである方だ。
庭の真ん中に墜落してきた大きな乗り物の中から、何かが出てきたのだから。


† † † † †

乗り物の中から出てきたそいつは、ご丁寧にベランダの窓を開けて机の下のアサヒを見つけてしまった。
「こんにちは。あなたの名前はなんですか? それにしても……狭い部屋ですねえ」
一体何が起こっているのか頭の整理が追いつかない。唖然として、声にならない。

いったいなんなのだこいつは。人の家に堂々と上がりこんで「狭い部屋」だなんて無礼極まりない。
ここは部屋じゃなくキッチンだキッチン!
そもそも誰なんだこいつは。

アサヒは頭が悪いなりに一生懸命考えてみたが、全く答えは見えてこなかった。

さて、わからないとなるとまずすることは、相手が何なのかを知ることだ。
アサヒはアサヒなりに、そいつの観察をはじめた。

そいつはまず、容姿で人目を惹いた。
肩につくかつかないかの銀色の長髪。そのサラサラな髪をゆっくりと手でよける。
そしてキラキラ輝いているマリンブルーの瞳。
はっきりと言うと、そいつはとてもカッコよかった。
しかし、どこか普通の人間ではない雰囲気なのだ。


アサヒはやっと落ち着いたようだ。そいつに話しかけた。
「てかさ……あんた誰?」
アサヒがそう言うと、そいつは少し困った顔をした。
教えたくない、そう訴えるかのように。

「でもさぁ、なんか名前をつけないとめんどいしなぁ」
アサヒはきょろきょろ辺りを見回し、午後九時をまわっている時計に目をやった。


「そうだ。これだ! あんたの名前は……クジで~す!!」

ジャジャジャジャーンと、わざわざBGMをつけたアサヒを見て、
そいつ=クジが今度は唖然とする番だった。

こんなへんてこりんな奴の家に上がりこんでしまったのか、なんて不幸なんだろう。
しかも「クジで~す!!」って。
名前ダサいし、BGMも安っぽいし、そもそも9時だからクジってまんますぎるし。

クジは皮肉を込めて、大きなため息をついた。


しかしアサヒは、外に置いてある不時着飛行物体を見続けている。
クジはそれに気づいたとたん、パッと電光石火、矢のごとくとんでいった。
「触らないで下さいよ! これ、けっこう高値なんですから。ああちょっと点検しないと」
最後の方は独り言のように呟き、不時着飛行物体の中に入り込む。


しばらくして中から出てきたが、すごく肩を落としていた。
またも独り言のように呟いている。
「どうしよう……操縦装置がぶっ壊れてる。直るまでに3日はかかりそうだ」


アサヒはその様子を見て、半分同じ不幸な人間がいたのを喜んで、
半分不時着飛行物体が壊れてどうしようもないクジを憐れんでいたのだった。


† † † † †


二つの感情が拮抗した中、アサヒはクジの肩を叩いて言った。
「じゃあさ、私の家にいれば? 3日間だけならね」

クジはパッと目を輝かせて(それこそ、スポットライトが当たったように)こんな一言を言うのだった。
「なあんだ。地球人にも、けっこういい人いるんですね。では3日間だけよろしくお願いします」


どうも地球の人ではないらしいクジは、適度にあいさつが終わるが否や、アサヒの家を物色開始。
これじゃあ礼儀いいんだか、悪いんだか。
まあ、楽しそうにテレビとか電話を触って喜んでいたのだ。良いとしよう。


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